めんどくせぇことばかり 『ことばは国家を超える』 田中克彦
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『ことばは国家を超える』 田中克彦

BBC NEWS 2021/7/25
【東京五輪】 「試合夕方以降に」、ジョコヴィッチ選手らが「厳しい暑さ」に苦言
https://www.bbc.com/japanese/57958755
(抜粋)
東京オリンピックで猛暑が懸念される中、24日のテニス男子シングル初戦を突破した世界王者ノヴァク・ジョコヴィッチ選手(34、セルビア)と世界2位のダニール・メドヴェージェフ選手(25、ロシア)は、試合後、これまで経験してきた中で「最も厳しい」暑さだとして、試合時間の変更を主催者に求めた。

午後三時以降試合開始に「時間をずらそうとしない理由がまったく分からない」と言ってるらしいが、日本の夏を甘く見てはいけない。その時間にずらすと雷雨に見舞われる恐れがある。最近はゲリラ豪雨とか呼ばれるほど、激しい雷雨になるからな。それを体験してもらうのも、新たな日本理解につながるかも知れないが・・・。

ちなみにジョコヴィッチさんに同調したロシアのメドヴェージェフさん。その語源のメドヴェーチについては面白い話がある。前に読んだ本に出ていた。

ロシア人を動物に例えると、熊として描かれることが多い。日露戦争の対立構図を描いたビコーの風刺画でもそうだったな。狡猾そうなイギリス兵が、日本兵を熊の姿のロシア兵に向かわせるやつ。

ところが、熊を思わせるロシア人の使うロシア語に、元来あったはずの熊を表わすロシア語がない。今日、ロシア語で熊を表わす単語はメドヴェーチである。メドベージェフという名は、熊という意味の名だ。

ただし、メドヴェーチは、メドが「蜂蜜」で、ヴェーチが「食うやつ」。元来の熊にあたる単語は跡形もなく消え去り、この「蜂蜜を食うやつ」という言い方しか残っていない。熊を信仰の対象として畏れ、その元来の単語を使うことがはばかられたのだろうか。おお、“口に出してはいけないあの人の名前」だね。

ゲルマン語世界にはベルリンとかベルンとか、熊を意味するberがつけられている都市がある。しかし、berは本来、“茶色”を意味する言葉だという。ここでも本来の熊を表わす単語は失われている。

メドヴェージェフさんは「熊」、「蜜を食うやつ」なんだな。



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日本語と文の構造ばかりか、表現方法、つまりものの感じ方までもが共通する言語が世界には多く存在する!
第一章 ウラル・アルタイ説の出現とその道のり
第二章 言語の同系性を明らかにする方法
第三章 言語類型論
第四章 日本におけるアルタイ語類型論の受容の歴史
第五章 ツラン主義の誕生


英語とドイツ語は起源が共通である。英語はゲルマン語族のアングル族とサクソン族が今のブリテン島に持ってきて、土着のケルト系諸民族を征服しながらできた言語。

ゲルマン語族は、「山」のことを「ベルク」と読んでいた。ハイデルベルクのベルクである。ドイツ人はハイデルベルクの名の由来を、ハイデルべーレン・ベルクだと解釈しているという。ハイデルべーレンとはブルーベリーのことで、ハイデルベルクはブルーベリーの生えている岡、あるいは山ということになる。

山を意味するベルクは、古英語まではドイツ語のbergにあたるbeorgという形で残っていた。ところが中世になるとベルクはすっかり姿を消して、mount、mountainに置き換わってしまった。一〇六六年のノルマン・コンクエスト以来、古フランス語のmont、montaineが入ってきて、もとのベルクを押しのけてしまう。

人間は山に対していろいろな信仰心を持ち、畏れたり、拝んだり、敬ったりする。ベルクを口に出して言うのは畏れ多く、それ故に古めかしく、避けて使わなくなったのかも知れない。

言葉には、その民族の成り立ちや歴史が全部繁栄されている。だから、面白い。いや、あまりにも地道な道のりのようなので、自分で研究するのは勘弁してもらう。人の地道な努力の結晶を、本で読ませてもらうのが面白い。

“民族の征服”とは、その民族に属する人間を生物的に殺してしまうと言う意味ではなく、その本来の言葉を捨てて、別の言葉を話さないでは暮らしていけなくなるようにさせることを言う。

中国共産党が、モンゴルやウイグルでやろうとしていることが、満洲やチベットでやってきたことが、まさにそれに当たる。そして中国共産党のやろうとしていることは、“征服”に止まることはない。・・・“根絶やし”まで行く。



    
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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本


































































































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