めんどくせぇことばかり 中国『地政学が予測する日本の未来』 松本利秋
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中国『地政学が予測する日本の未来』 松本利秋

世界が“中国”のやっていることを理解しはじめた。

いつもわけの分からない数字をあげてくる国だから、公表される数字から国の様子をうかがい知ることは難しい。おそらく中国共産党も、自国の正確な姿を把握できないところがあるだろう。いずれにせよ、経済状態がよかろうはずがない。

そんな中で感染症を拡散させてしまい、世界からそっぽを向かれている。付き合いを続けるのは、同じように自由主義陣営から厳しい目を向けられる独裁政権か、安価で大量に出回る“中国”製ワクチンに頼らざるを得ない貧しい国くらい。

全体的な流れとしては、“中国”経済はどんな状況にあったのか。

GDP世界第二位にまでなった中国経済であるが、そのGDPに占める個人消費の割合は低い。その上、一九九〇年代には四八%あったGDPに占める個人消費の割合は、二〇一七年には三五%まで落ち込んでいる。

中国経済は、労働者の賃金を低く抑えることで、商品の価格競争力を高め、輸出を伸ばして成長してきた。個人消費が減少した分は、海外への輸出を伸ばすことで賄うことになる。

少ない内需を貿易黒字に頼って製造業の成長を維持してきた結果、国際市場への依存度が高い中国経済は、今後ますますその傾向を強めることになる。中国共産党はそれを懸念し、内需拡大を協調するが、賃金を上げれば商品の価格競争力が低くなる。

さらに、一九七九年からはじめた一人っ子政策(二〇一五年終了)から四〇年経った二〇二〇年には、初期世代は四〇歳を越えていく。この世代の子どもの人口もさらに減少してきている。中国は今後、人口減少期に入る。少子高齢化で労働人口が減少し、国内市場も将来的には縮小していく。外国企業が中国に投資した最大の要因であった一四億人の巨大マーケットは、今後、確実に失われていく。

そんな状況にありながら、“中国”は周辺諸国ばかりでなく、世界中へのインフラ輸出を企て、《一帯一路》と命名した。その多くは生産過剰で宙に浮いた生産財をつぎ込んだ荒仕事で、おかげで借金漬けにされ、“中国”に租界を許さざるを得ない状況になっている国もある。独裁政権に甘い汁を吸わせて、国民に借金を背負わせているケースもある。

インドネシア政府が計画した、ジャカルタ-バンドン間やく一四〇キロメートルの区間に高速鉄道の建設に対し、日本は現地の地質調査を行ない、具体的な事業計画案を提出していた。しかし、インドネシア政府は、日本案では高速鉄道にかかる費用が膨大だとして、計画の見直しを日本に伝達した。これに中国が割り込み、インドネシア政府に債務保証を求めず、必要な資金も用意するという破格の提案だった。

インドネシア政府は精査もせずに、これに飛びついた。中国の計画書には、日本が行なったボーリング調査の資料や顧客調査のデータなど、日本と同じ数値が盛り込まれており、さらには中国が独自に調査を行なった形跡もないことから、インドネシア政府内に日本の内部資料を中国に渡した者がいるとの報道もなされた。経緯は疑惑に満ちたものであったが、契約は成立した。



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新たな世界において日本の歴史と国民性を基盤とした「日本独自の戦略」とはなにか
第一章 マクロな視点でコロナ後の世界の動向を分析する地政学のきほん
第二章 中国経済に依存した悲劇
第三章 地政学から見た朝鮮半島-日本の戦略的視点とは
第四章 海から見た日本の生き残り戦略
第五章 新段階に入った日本-地政学的立ち位置とクアッドの舞台


契約成立後、中国はインドネシア政府に、債務保証を求めてきた。中国はこの段階で必要な書類のすべてを提出しておらず、提出された書類も中国語で書かれていた。インドネシア政府は、インドネシア語か英語の文書を再提出するよう差し戻した。これらの騒動の渦中、二〇一六年に行なわれた起工式には、高速鉄道建設に許可を出す担当大臣が欠席するなど、前代未聞の事態となった。鉄道建設はいまだに進んでいない。インドネシア政府は予算の大幅超過の見込みを発表し、日本にも工事事業に参加するよう促した。

インドネシアは以前、中国製のプロペラ旅客機MA60を導入した。実際に運用すると、MA60は欠陥機であることが判明した。インドネシア国内では、二〇一一年五月に墜落事故を起して、二五名が死亡した。着陸時に車輪が出ず胴体着陸したこともあった。中国の航空機専門家も、設計や製造の稚拙さを指摘しており、先進国での導入実績はゼロで、中国国内でも四川航空などは運航を取りやめた。

メキシコでも中国は、高速鉄道計画を受注したが、メキシコ政府の決定で発注が撤回され、計画そのものが無期延期になった。中国側の強硬な売り込みの中、贈収賄疑惑が表面化したのが問題となった。

フィリピンでは、マニラ市郊外での鉄道建設を途中で投げ出して、撤退している。この計画はその後、日本のODAで続行されることになった。

タイでも、中国との共同で鉄道敷設計画があったが、中国側の提出した見積もりが異常に高額で、計画が進まなくなった。

一帯一路やAIIB構想など中国の対外援助は、その多くが自国の利益を最優先したもので、被援助国は期待するほどの恩恵を受けない。アメリカ・ランド研究所の調査によれば、中国の対外援助と公式ファイナンスの八〇%以上は、原料採取と自国への資源輸送用の道路や橋、港湾の建設に使われている。援助の三分の二は金融プロジェクトと原料に関する借款であり、その半分以上は中国企業から調達するための紐付き援助となっている。

さて、“中国”がチベットや南モンゴル、それから東トルキスタンで民族浄化を進めていることは、ずいぶん前から知られていた。過去にそれが大きな話題になったのは、二〇〇八年北京オリンピックの時だ。聖火が世界各地を回る中、聖火リレーは世界各地で抗議活動に晒された。理由は、チベットで進行しつつある民族浄化に対する抗議のためである。

しかし、チベットの民族浄化に対する抗議活動は、その後、沈静化した。結局、世界は、“中国”からもたらされる利益に目がくらみ、“中国”との経済交流を優先することにした。チベットの民族浄化は、さらに進められた。

一度は利益を優先して“中国”方式を受け入れた世界が、ここに来て、それがきわめて危険であることに気づいた。折しも、東トルキスタンにおけるウイグル族の民族浄化が進行しつつある。自由主義陣営に属する多くの国々が、“中国”方式を拒否しはじめた。台湾、南シナ海、東シナ海での軍事的デモンストレーションも、盛んに行なわれるようになった。

“中国”一国で、自由主義陣営に対抗できる力はない。経済的にも厳しい状況にある。こんな時、“中国”は、自分の力だけで足りなければ、他国の力を利用する。これまでも散々利用し、かつ、もっとも使い出のある他国は、もちろん日本である。


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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本


































































































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