めんどくせぇことばかり 国民歌謡 『椰子の実』
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国民歌謡 『椰子の実』

国民歌謡とは、昭和11(1936)年から同16(1941)年まで、ラジオによる健全な歌の普及をめざして全国に放送されたラジオ番組であり、そこで取り上げられて流行した歌。
『椰子の実』(作詞 島崎藤村 作曲 大中寅二)もその一つ。
吉田精一著『鑑賞現代詩 I(明治)』によれば、『この詩のもとになったのは、藤村自身でなく松岡(柳田)国男の体験でした。松岡国男は三十一年ごろ、病後の療養に三河の伊良湖岬に行き、そこで椰子の実の流れよるのを拾いました。のちに藤村は松岡からその話をきいて感動し、「松岡君、その話は私が頂きますよ」といったとのことです。』とある。

 椰子の実 作詞 島 崎  藤 村  作曲 大中寅二


名も知らぬ遠き島より
流れ寄る椰子の実一つ

故郷
(ふるさと)の岸を離れて
(なれ)はそも波に幾月

(もと)の樹は生ひや茂れる
枝はなほ影をやなせる

われもまた渚を枕
孤身
(ひとりみ)の浮寝の旅ぞ

実をとりて胸にあつれば
(あらた)なり流離の憂(うれひ)

海の日の沈むを見れば
(たぎ)り落つ異郷の涙

思ひやる八重の汐々(しほじほ)
いづれの日にか国に帰らむ
 

「いずれの日にか国に帰らむ」という、この人の「国」とは、「故郷」とはどこだろうか。今、この人はどこにいるのだろうか。どのような「異郷」で、海に沈む日をみているのだろうか。

この歌が世に出たのが昭和11(1936)年6月。2月には2・26事件が発生して、多くの日本人が先行きに対する漠然とした不安を感じるようになる。そんな頃である。日本人はいろいろな場所に広がっていた。明治初頭からのブラジル始め南米への移民。ハワイへの移民。アメリカへの移民。第一次世界大戦後にドイツから日本の委任統治領に組み入れられた南洋諸島。そして満州。

どれも間違いではないだろう。この歌を口ずさんだ人たちは日本にいる。日本にいながら、なつかしい「故郷」を思う者が大半だったろう。しかしこの時代、「異郷」に暮らす日本人もたくさんいた。「その人たちは、いつか、どんなに遠い波の彼方にいても、必ずなつかしい故郷へ帰るぞ」と、本当に帰れるかどうか分からないけど、心の中では「帰りたい」と、そう思いながら「異郷」の海に沈む夕日を見ている。きっと、そうしている。なぜなら、自分がそうなら、きっとそう思うからと。

でも、このあともっともっとたくさんの人たちが「異郷」に向かう。誰もがいつか「故郷」に帰る夢を見ながら、その多くが「異郷」の土となった。そんな記憶が、きっと私たちの血のなかにも眠っている。そんな気がする。


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テーマ : 唱歌
ジャンル : 学校・教育

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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本


























































































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