『日本語はこわくない』 飯間浩明
“おざなり”と“なおざり”の違い、日本語の難しさを扱った本では、よく取り上げられるカップルだな。それなのに、なぜかそのたびに気付かされ、そしていつの間にか分からなくなってしまう。・・・まったく、もう。
“おざなり”は「お座形」、お座敷で、その場だけ取り繕った形のこと。上辺だけの真心のない挨拶などを「おざなりな挨拶」などという。それに対して“なおざり”は、「今なお、そのままにある」こと。対処しておくべきことを、そのままにしてあること。
“おざなり”は、まがりなりにも、何かしらやってる。“なおざり”は、なにもやってない。・・・んんん、以前も、こうして頭に入れたような気がする。
さて、この本の著者飯間浩明さんは、『三省堂国語辞典』の編集委員を務めるなど、日本語の専門家。『日本語をつかまえろ』をはじめ、日本語に関わる著書は多数に及ぶ。おそらく私も、一冊くらいは読んでるだろう。
・・・調べて見たら、読んでた。『日本語をもっとつかまえろ』という本を読んでいた。それも、そんなに前のことじゃない。昨年の秋だった。そして、それをブログで紹介していた。その時も、私にはありがちなんだけど、『日本語をつかまえろ!』を読む前に、続編の『日本語をもっとつかまえろ!』を読んでいる。そして、それをブログにも書いている。「二冊目を先に」って。
そして、二冊目を先に読んだあと、一冊目に戻る前に、次の本に手を出したことになる。
今度の本は、“つかまえろ!”の二冊とは、少し趣が違う。
飯間さんは、最近の言葉に対する世の中の受け取り方に、ちょっとした違和感を感じておられるようだ。どうも、世間には、観念的に“正しい日本語”というものがあると考える人が少なからずいて、人の操る“あやしい日本語”に厳しい目を向けている。そういう風潮があるというのだ。
パソコンやスマホのインターネットで、昨今、誰かが作った文章が不特定多数の目に触れるのが当たり前になった。ある日突然、見知らぬ他人から言葉の使い方を批判されることが、少なからず行なわれているようなのだ。
「この言い方は日本語として正しいのか」
「こういう言い方はOKなのでしょうか」
「こういう言い方はゆるせませんよね?」
そんな指摘をされれば、確かに気になる。気になって、自由の言葉を使えなくなる。気持ちを自由に表現できなくなる。それは苦しい。
そんなピリピリした雰囲気に、日本語と向き合った専門家の立場から、「日本語はこわくない」って話をみんなに読んでもらいたい。そんな趣旨で書かれた本のようだ。
「これは、いい言葉だな」と思っていたものが、いつの間にか疑問符がつけられるようになっているものもあるようだ。
「ご自愛下さい」という言葉もそう。目上の方に使う言葉としては不適当と考える人がいるようだ。「健康管理は自己責任で」と、突き放しているように感じられるということらしい。私はむしろ、目上の方にこそ使っていたぞ。目上に使いにくいという点では、「ご苦労さま」も、最近そういう傾向があるんだそうだ。これも私は、当たり前のように上の人にも使っていた。
今は、「お疲れさま」の方が一般化してきているらしい。「お疲れさま」は、上でも下でも個人に対して使うより、みんなで手がけた仕事が終わったときにかける言葉のような気がする。
ブログに記事を書くとき、いつも気にしていたことがある。読点の打ち方。
ブログの字はそんなに大きくないし、読みやすくするためにも、頻繁に文章を切るようにしている。ちょっと切りすぎかなと思っていた。
「読点が多いことは、必ずしも悪いわけではありません。多すぎると読みにくくなりますが、読点の極端に少ない文も。これまた読みにくいものです。要は、読点が適切な位置に打たれているかどうか」と書かれている。
気にかけるべきは、「出来事の境目」と、文章の「骨組みをはっきり」させることだそうだ。その範囲で、ブログにおいては、できるだけ文を切って読みやすくしたいと思う。
そうそう、気になることがある。外国から入ってきた言葉を、翻訳せずに、そのままカタカナで現わして使うことが多い。それが多くなると、同じ日本語を使っているようでも、意思疎通が出来なくなることになるだろう。
最近はもっとひどい。SNSは、もはや日本語ではない。SDGsもそう。今朝は、BCPという言葉を聞いた。
これに関しては、非常に腹立たしい。Business Continuity Planningの頭文字でBCPと言うことらしい。こちらは「事業継続計画」と翻訳されている。だったら、そっちの言葉を使えばいいのに、テレビの人はBCPを連呼する。彼らは社会的責任を果たしていない。
飯間先生に聞きたい。SNS、SDGs、BCPっていう表記は、日本語ですか?
“おざなり”は「お座形」、お座敷で、その場だけ取り繕った形のこと。上辺だけの真心のない挨拶などを「おざなりな挨拶」などという。それに対して“なおざり”は、「今なお、そのままにある」こと。対処しておくべきことを、そのままにしてあること。
“おざなり”は、まがりなりにも、何かしらやってる。“なおざり”は、なにもやってない。・・・んんん、以前も、こうして頭に入れたような気がする。
さて、この本の著者飯間浩明さんは、『三省堂国語辞典』の編集委員を務めるなど、日本語の専門家。『日本語をつかまえろ』をはじめ、日本語に関わる著書は多数に及ぶ。おそらく私も、一冊くらいは読んでるだろう。
・・・調べて見たら、読んでた。『日本語をもっとつかまえろ』という本を読んでいた。それも、そんなに前のことじゃない。昨年の秋だった。そして、それをブログで紹介していた。その時も、私にはありがちなんだけど、『日本語をつかまえろ!』を読む前に、続編の『日本語をもっとつかまえろ!』を読んでいる。そして、それをブログにも書いている。「二冊目を先に」って。
そして、二冊目を先に読んだあと、一冊目に戻る前に、次の本に手を出したことになる。
今度の本は、“つかまえろ!”の二冊とは、少し趣が違う。
飯間さんは、最近の言葉に対する世の中の受け取り方に、ちょっとした違和感を感じておられるようだ。どうも、世間には、観念的に“正しい日本語”というものがあると考える人が少なからずいて、人の操る“あやしい日本語”に厳しい目を向けている。そういう風潮があるというのだ。
パソコンやスマホのインターネットで、昨今、誰かが作った文章が不特定多数の目に触れるのが当たり前になった。ある日突然、見知らぬ他人から言葉の使い方を批判されることが、少なからず行なわれているようなのだ。
『日本語はこわくない』 飯間浩明 PHP出版 ¥ 1,595 誰もが戸惑う日本語の問題が、本書を読めばすっきりと理解できるはず |
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「この言い方は日本語として正しいのか」
「こういう言い方はOKなのでしょうか」
「こういう言い方はゆるせませんよね?」
そんな指摘をされれば、確かに気になる。気になって、自由の言葉を使えなくなる。気持ちを自由に表現できなくなる。それは苦しい。
そんなピリピリした雰囲気に、日本語と向き合った専門家の立場から、「日本語はこわくない」って話をみんなに読んでもらいたい。そんな趣旨で書かれた本のようだ。
「これは、いい言葉だな」と思っていたものが、いつの間にか疑問符がつけられるようになっているものもあるようだ。
「ご自愛下さい」という言葉もそう。目上の方に使う言葉としては不適当と考える人がいるようだ。「健康管理は自己責任で」と、突き放しているように感じられるということらしい。私はむしろ、目上の方にこそ使っていたぞ。目上に使いにくいという点では、「ご苦労さま」も、最近そういう傾向があるんだそうだ。これも私は、当たり前のように上の人にも使っていた。
今は、「お疲れさま」の方が一般化してきているらしい。「お疲れさま」は、上でも下でも個人に対して使うより、みんなで手がけた仕事が終わったときにかける言葉のような気がする。
ブログに記事を書くとき、いつも気にしていたことがある。読点の打ち方。
ブログの字はそんなに大きくないし、読みやすくするためにも、頻繁に文章を切るようにしている。ちょっと切りすぎかなと思っていた。
「読点が多いことは、必ずしも悪いわけではありません。多すぎると読みにくくなりますが、読点の極端に少ない文も。これまた読みにくいものです。要は、読点が適切な位置に打たれているかどうか」と書かれている。
気にかけるべきは、「出来事の境目」と、文章の「骨組みをはっきり」させることだそうだ。その範囲で、ブログにおいては、できるだけ文を切って読みやすくしたいと思う。
そうそう、気になることがある。外国から入ってきた言葉を、翻訳せずに、そのままカタカナで現わして使うことが多い。それが多くなると、同じ日本語を使っているようでも、意思疎通が出来なくなることになるだろう。
最近はもっとひどい。SNSは、もはや日本語ではない。SDGsもそう。今朝は、BCPという言葉を聞いた。
これに関しては、非常に腹立たしい。Business Continuity Planningの頭文字でBCPと言うことらしい。こちらは「事業継続計画」と翻訳されている。だったら、そっちの言葉を使えばいいのに、テレビの人はBCPを連呼する。彼らは社会的責任を果たしていない。
飯間先生に聞きたい。SNS、SDGs、BCPっていう表記は、日本語ですか?
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