めんどくせぇことばかり 『グローバル恐慌の真相』 中野剛志・柴山桂太
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『グローバル恐慌の真相』 中野剛志・柴山桂太

反TPP陣をフルバックで支える中野剛志と経済思想家柴山桂太の対談をまとめたもの。

昨年秋、野田政権はTPP参加をめぐり、既加盟決定国との話し合いに入ることを決定した。「参加を決定したわけではない」とは言いながら、あれだけ沸騰したTPP論議も時間をおかれて燗ざめ状態。反対を表明していたグループも、上では旗を振るものの、飲み屋の話題はTPP対応策に移り変わりつつある。

そんな中、ともに七〇年代前半の生まれの二人の経済専門家が、このグローバリズムと共に進行する世界不況の本質、その行く末を語り合う。

2008年にリーマンショックが発生した時、アメリカはバブル崩壊後の日本の失敗を教訓として必死になって景気悪化をくい止めようとした。その結果、2009年くらいから景気は持ち直すかに見えた。しかし結局、巨大なバブル崩壊の影響は、じわじわアメリカをむしばみ続けた。格差デモに答えようにも、オバマの格差是正策はアメリカの信条によって拒否された。「自助努力の不足だ」「自己責任だ」と。

昨年、混乱の波は世界に及んだ。ジャスミン革命の発端はチュニジア。2010年、チュニジアの経済成長率は3.8%と悪いわけではなかった。にもかかわらず失業率は14%、若年層だけなら30%を超えた。これがグローバル化だ。ジャスミン革命はエジプトの政権をも崩壊させ、いまだに中東全体を揺さぶっている。

ヨーロッパも揺れている。ギリシャの経済破綻をドイツが埋め合わせなければならない。経済結合を政治結合にまで発展させようとするヨーロッパで、拒否反応が起こりつつある。グローバリズムが推し進められれば、国家の壁は少しずつ取りはらわれていく。その時、偏狭なナショナリズムに火がつかないと誰が保障できるだろうか。いや、その方が必然であると思える。
グローバリズムがもてはやされてきたのは、二人の言うとおり、これまでがたまたま好況に恵まれてきたから、アメリカの不動産バブルが、そのマイナス面を吸い上げられるくらいにふくれあがっていたからだ。昨年、アメリカのウォール街で反格差デモが始まった。アメリカでも分け前にあずかれない連中が苦しみ始めたのだ。

本書は、世界経済が上記のような状況にありながら、その原因追及もなおざりに、格差を生み続けるグローバル化に邁進していこうとしていることに対して警告を与える。そして日本も、さらなるデフレ圧力であるグローバル化が大胆に推し進められることにつながるTPPに参加しようとしていることの危機を訴える。

この本の中で二人は、数多くの経済学説をあげ、これまでの世界経済が多くの経済人の試行錯誤の中で今にいたることを説明している。事態はつねに新しい。今の時代には今の時代の経済理論が必要なのだろう。景気のいい時はそれなりの、悪い時にもそれなりの、さまざまな試行錯誤、汗と、場合によっては血をも流して、微調整をくり返しつつ進んでいかなければならないのだろう。

停滞したこの日本社会が、3・11後の日本社会が立ち向かわなければならない問題は多い。日本経済が厚い雲に覆われてから久しいが、グローバル化がその雲を取り除いてくれるかのように考えるのは幻想だろう。日本の近代史の中で、外圧は時に大変化のきっかけとなった。しかし過去の大変化の中でも、日本人の歴史的蓄積は完全には失われていない。今、私たちが直面するグローバル化。その真の姿を、しっかり見極めよう。


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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本
























































































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