めんどくせぇことばかり 『ブッダが説いた幸せな生き方』 今枝由郎
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『ブッダが説いた幸せな生き方』 今枝由郎

暗く厭世的に思われがちな仏教。しかし、その開祖ブッダはそんなにマイナス思考の人だったのだろうか。若いころから仏典に触れ、パリで研究をする一方で、仏教国ブータンに長年生活し、チベットの人々の間に生きる仏教に親しんだ著者ならではの、ユマニスムにも通じるブッダの教えの読み解き。
??・・・なんだろう、“ユマニスム”って。調べちゃった。そうしたら、なんてことない。ヒューマニズムのフランス語発音みたい。

生きることは“苦”である。輪廻を断ち切って、二度とこの世に生まれてこない状態が理想。たしかに、人生のすべてを否定しているかのよう。池上彰に言わせれば、仏教という言葉から思い浮かべるのは、苦、無常、死、葬式、お墓・・・ウワーって感じ。

仏教の開祖であるブッダが日本仏教の現状を目の当たりにしたら、間違いなく「私は仏教徒ではない」と言うだろうと、著者の今枝由郎さんは言っている。

それはまあ、ブッダが教えを説いた時代から、2500年もの歳月が経過していることも、変質してしまった原因の一つにはなるだろう。ただ、それ以上に、ここが日本であるという原因が大きい。

日本では、クリスマスやハロウィンが大はやり。神前や仏前で結婚式を挙げるより、教会においてゴッドに愛を誓う人の方がはるかに多いだろう今日この頃だ。この状況をイエス・キリストが見れば、間違いなく「私はキリスト教徒ではない」と言うだろう。

もともと仏教は、鎮護国家を期待されて、国をあげて導入されたものであった。その前から鎮護の力に期待する信仰心が存在していた。それに仏教をかぶせたわけだな。さらにそれが貴族へ、武士へ、庶民へ取り入れられていく過程で、その都度変質した。近世、戦国時代から中央集権制に移行する中、政治に協力することを求められて、ここでも仏教は変質していった。

それが悪いとは思わないが、当然のように日本の仏教は、仏教が本来持っていた、“よりよい人生を生きるための指針”としての本質を失ってしまった。

この本は、“よりよい人生を生きるための指針”としての本質を教えてくれている。


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岩波新書  ¥ 924

なにごとの 縁なるかは 知らねども ありがたさにぞ 涙流るる
一章 仏教徒は幸せ
二章 ブッダの生涯
三章 ブッダが「目覚め」たことーものごとのありのままの姿
四章 仏教徒の生き方
終章 現代と仏教
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先日、大原千鶴さんの『茶呑みめし』というエッセイ集を読んだ。肩の力の抜いて、ゆったりと自分とその周辺を見つめ直して書いたような本で、やはり話の中心は家庭料理に置かれている。その中に、「“自分らしく無理せず、命を無駄なく使い、毎日を機嫌よく”そんな暮らし方が軸になっている」と書かれていた。女と男では違うが、世代が近いこともあり、ほぼ共感できた。

私も大原さん同様、親は逝き、子どもは育ち、仕事はやめた。今はただ、なんだかんだと心配したり、こうすれば良かったとクヨクヨせず、ただ気持ち良く、ご機嫌でいられるように心を整えようと決めた。

この本の《一章 仏教徒は幸せ》の中に、次のような文章を見つけた。

ブッダの弟子たちが、シンプルで静かな生活を送っていながら、顔色が輝いているのはどうしてかと訪ねられたとき、ブッダはこう答えました。
「彼らは過去を悔やまず、未来のことで気を病まない。彼らは現在を生きている。だから彼らの顔色は輝いている」

大原さんの生活態度、私が日頃感じていることは、仏教における“よりよい人生を生きるための指針”に近づいているようだ。ここまで来るのに、すでに親は死に、子どもは旅立ち、仕事を離れた。身体は若い頃のようには動かず、いろいろなことを諦めて生きてきた。今は、毎日適度に身体を動かし、本を読み、ものを考え、料理をして、時々山に登る。

そうか、私の日頃の生活は、出家に近い。

この境地を、若い人に求めるのは難しい。親は生きているし、子どもは可愛い。体は頑強だし、やりたいことはたくさんあって、欲しいものは数知れない。

いろいろなものを失ったことが、今の私の幸運か。あっ、まだ失っていないものがある。・・・向こうの部屋に。


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ジャンル : 本・雑誌

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こんな本、あんな本
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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。

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中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。

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高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。

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今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本
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