めんどくせぇことばかり 『日本の電機産業はなぜ凋落したのか』 桂幹
fc2ブログ

『日本の電機産業はなぜ凋落したのか』 桂幹

かつて世界一の強さを誇った日本の製造業。しかし、その代表格である電機産業に、もはやその面影はない。なぜ日本の製造業はこんなにも衰退してしまったのか。

その原因を、父親がシャープの元副社長を務め、自身はTDKで記録メディア事業に従事し、日本とアメリカで勤務して業界の最盛期と凋落期を現場で見てきた著者が、世代と立場の違う親子の視点を絡めながら体験的に解き明かす電機産業版「失敗の本質」。ひとつの事業の終焉を看取る過程で2度のリストラに遭い、日本とアメリカの企業を知る著者が、自らの反省もふまえて、日本企業への改革の提言も行なう。

この過ちは日本のどこの会社・組織でも起こり得る!ビジネスパーソン必読の書。

高品質・高性能で、しかもかつての日本製品は、比較的安かった。だから、負けるはずがなかった。そのうち為替の影響を受けるようになり、人件費を中心にコストも上昇する。低価格を武器にすることができなくなっても、高品質・高性能は変わることのない日本の武器である。

・・・はずだった。ところが、あるときから、それが仇になったようだ。

そう言えば私も、DVDのデッキを買ってそんなに経たないのに、なんでもうブルーレイに切り替わるんだろうと思った。これが電機業界のやり方かと、腹も立った。日本では切り替わりが行なわれたものの、海外市場にはまったく受け入れられなかったという。「すでに
DVDが存在し、画質は多少良くなっても驚くほどではないし、海外では動画配信サービスが広がりはじめていた」ということらしい。

光ディスクの場合、CD-Rが開発された段階で、その延長線上に理論上実現可能な技術の将来予測をロードマップという。このロードマップを着実に実現させることに、日本は長けているという。アナログ技術の場合、日本はそれでナンバーワンになった。

しかし、デジタル化の本質はロードマップ上の高品質・高性能化ではなく、“画期的な簡易化”にあった。日本の電機産業界は過去の成功体験もあり、高品質・高性能を強みと自負していた。最高品質を目指して妥協を許さない姿勢で新商品を開発した。

顧客が“画期的な簡易化”を求めている時に、顧客の求める以上の商品開発にコストをかけてきたのが日本の電機産業界だった。デジタル化の本質を、完全に見誤っていた。

それが、日本の電機産業が凋落した、原因の一つである。しかし原因は、それだけではないようだ。



集英社新書  ¥ 1,034

電機産業の「失敗の本質」を見事に捉えた、日本経済の未来への指針
第1章  誤認の罪 「デジタル化の本質」を見誤った日本の電機産業
第2章  慢心の罪 成功体験から抜け出せず、先行者の油断から後発の猛追を許す
第3章  困窮の罪 間違った”選択と集中”による悪循環
第4章  半端の罪 日本型経営の問題点は、なぜ改善できなかったのか
第5章  欠落の罪 人と組織を動かすビジョンを掲げられない経営者
第6章  提言 ダイバーシティと経営者の質の向上のためには


それでも、高品質・高性能は、どうやら日本人の本質に根ざした部分があるらしい。もちろん、それが仇になる場面があるなら、警戒する仕組みを作っておく必要があるが、本質であるならば役立てればいい。

これは工業製品の話ではないのだが、こんなニュースを見つけた。

2023/11/18  朝日
神戸ビーフ、宇治抹茶… 海外での模倣品「情報提供を」、現地に窓口
(抜粋)
神戸ビーフ、関サバ、宇治抹茶、長崎カステラ……。海外で日本の農林水産物や食品をまねた商品が出回り、年間の推定被害額は700億円を超える。模倣品の横行を防ごうと、農林水産省は主要国に相談窓口を設け、幅広く情報提供を求めていく。

食品の分野においても、「日本ブランド」は世界から受け入れられているようだ。朝日の記事にある「神戸ビーフ」、「関さば」、「宇治抹茶」、「長崎カステラ」のほかにも、「北海道ホタテ」、「北海道ミルク」などと表示された商品が出回っているという。これらは全部、パッケージの名前だけの偽物。2020年の年間被害額は、推定741億円にもなるという。

そんなわけで、農林水産省が重い腰を上げた、バンコクのJETRO事務所に窓口を設置して、情報を集めることになったという。立ち上げるやいなや、情報が飛び込んできているなんてことがニュースになっていた。

「日本ブランド」は、手塩にかけて作り上げた、味の“高品質・高性能”。顧客の満足を考えて仕事をする、日本人の本質が作り上げたもの。それをしっかり国が守るという姿勢を、世界に見せることが大事だな。

食品の分野でも、“高品質・高性能”が日本の強みになる。おそらく他の分野でもそうだろう。それをしっかり自覚し、それが場合によってはマイナス要素ともなり得ることを、理解しておくべきだろう。

長年かかって育て上げた新種の種子やら苗やらを、ずいぶん“中国”や韓国に持ち出されて、そこでも数百億の損失が出ているという。農林水産省は汚名返上のつもりで、頑張ってもらわないとね。



関連記事

テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

コメントの投稿

非公開コメント

ありがとうございました



「《めんどくせぇことばかり》は、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。」
よくお越し下さいました

イーグルス16

Author:イーグルス16

息も絶え絶えです、ぜひ応援してください

スクリーンショット 2024-01-25 135720
腹を探れば世界の動きがよく分かる!
知れば、もう騙されない!
変化の激しい時代だからこそ、変わらぬ原理・原則を見抜け!
カウンター
カテゴリ
こんな本、あんな本
スクリーンショット 2024-01-04 093839

この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。

スクリーンショット 2024-01-04 093904

中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。

スクリーンショット 2024-01-04 093932

高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。

スクリーンショット 2024-01-04 101026

今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本
スクリーンショット 2024-01-05 142731

スクリーンショット 2024-01-06 021227

スクリーンショット 2024-01-06 032248

スクリーンショット 2024-01-18 143105

スクリーンショット 2024-01-18 143445

スクリーンショット 2024-01-18 143650

スクリーンショット 2024-01-25 134638

スクリーンショット 2024-01-25 135025

スクリーンショット 2024-01-25 135252

スクリーンショット 2024-01-25 135418

スクリーンショット 2024-01-25 135540

スクリーンショット 2024-01-29 090133

スクリーンショット 2024-01-29 090446

スクリーンショット 2024-01-29 090655

スクリーンショット 2024-02-15 131650

スクリーンショット 2024-02-15 131850

スクリーンショット 2024-02-15 132226

スクリーンショット 2024-02-15 132416

スクリーンショット 2024-02-15 132605

スクリーンショット 2024-02-15 132740

スクリーンショット 2024-02-15 132951

スクリーンショット 2024-02-22 120032

スクリーンショット 2024-02-22 120254

スクリーンショット 2024-02-22 120959

スクリーンショット 2024-02-22 121156

スクリーンショット 2024-02-22 123949











































































スクリーンショット 2024-01-25 135720

検索フォーム
RSSリンクの表示
最新記事